アメリカの国技ともいわれているアメリカンフットボール。
そこに、字も読めない、地図も読めなかったスラム街出身の選手がいることをご存知だろうか。
マイケル・オアー
テネシー州メンフィス出身の黒人。NFL(ナショナル・フットボール・リーグの略)選手。
NFLはアメリカ合衆国でも最上級のフットボールリーグで、アメリカ国内だけでも毎週1億人以上がテレビや会場で観戦するという。
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【マイケルの生い立ちからNFLデビューまで】
マイケルは、メンフィスの最も貧しいと言われるスラム街で産まれた。
父親には一度も会ったことが無く、母親はドラッグとアルコール中毒で育児を放棄した。
そのため、彼は親戚をたらいまわしにされ、高校時代にはホームレスのような生活をしていた。
まともな教育が受けられなかったことが原因で、高校入学時には文字の読み書きもできなかったそうだ。
ホームレス時代、たまたま彼の近くを通りかかったテューイ夫妻により引き取られる。
その後高校のアメフトチームで頭角を現し、テューイ夫妻の協力によってフットボールの練習の傍ら、勉学にも励む。
そして大学入学を果たし、彼の試合を見てNFLのオファーが殺到し、新人としては破格の13億円の契約金でボルチモア・レイブンズ(2度スーパーボウルでの優勝経験を持つ)のオファーを受け、見事NFLデビューを果たし、一年目からレギュラーとして活躍する。
※テネシー州,メンフィス(アメリカ合衆国)
メンフィスはテネシー州の西端にある都市。同州の最大都市で、ミシシッピ川に面している。
19世紀に綿花の集散地として発展する一方で奴隷市が開かれた歴史を持ち、今でも人口の約6割をアフリカ系アメリカ人が占める。
実際のメンフィスのスラム街風景
上記画像提供元の調べによると、メンフィスでは11分に1の確率で犯罪に合う危険な街だそう。
【チャンスと努力が折り重なったストーリー】
この物語は奇跡のストーリーと言われている。
が、奇跡と呼ばれるのは、マイケルがチャンスを掴む努力を惜しまなかったからではないだろうか。
彼がもし、様々なチャンスがやってきたとしても、
何かを言い訳に、そのチャンスを掴もうとしなかったとしたら、この物語は生まれていなかっただろう。
マイケルを取り巻く環境は、
・スラム街出身で、教育を受けてきていない
・父親はおらず、母親はドラッグ・アルコール中毒
・転校を繰り返し、入学した学校は白人系クリスチャンの学校
これだけを見ても、そこに内包されている経験と感情は、どれほどのものだったのだろうか。
【人は環境(周囲の人)によって影響を受ける】
人の人生は、環境によって大きく変わるということが、マイケルのストーリーから読み取ることができる。
まず、彼は白人系クリスチャンの高校で能力テストを受けたところ、全て小学生以下であったが、唯一ずば抜けていた能力が、「防衛本能」。
自分や大切な人たちを守る本能だったという。
しかしその能力を発見したのも、それを生かし能力を伸ばすことができたのも、環境(周囲の人)の力である。
そして、マイケルを引き取ったテューイ夫妻も、環境の影響を大きく受けた。
テューイ夫妻の妻、リーアンは元々黒人に対して偏見を抱いていたという。
しかしマイケルを引き取り、マイケルと関わっていくうちに黒人への偏見はなくなり、マイケルに対して差別的な発言をした友人の縁を全て断ったそうだ。
もしマイケルを引き取ることが無かったら、リーアンの黒人への偏見は残ったままだったであろう。
マイケルはテューイ夫妻に与えてもらった環境に影響を受け、その環境の中で挑戦を続けた結果、NFL選手というポジションを手にした。
【1人1人の挑戦が、誰かの希望になる】
人の人生は必ず環境(周囲の人)の影響を受ける。
マイケルは、テネシー州メンフィスのスラム街で生まれ育ち、テューイ夫妻の家に引き取られることでフットボールと出会い、プロのフットボーラーとして故郷に凱旋した。
彼の挑戦と功績、そして彼がNFL選手として戦う姿は、故郷の人々にどれだけの希望を与えたことだろうか…
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