死にたいに取り憑かれたら?
「死にたい」「消えたい」
ふとそんな感情が沸き上がった経験を持つ人は、決して少なくないでしょう。
しかし、その思考に取り憑かれ、自殺することしか
考えられない状態になってしまったとしたら?
それは欝(うつ)をはじめとする、心の病を発症している場合が多くあります。
私達は日々の生活の中で生物学的、心理学的、社会的要因などにより考え方や価値観は常に変化しています。
それはいい変化もあるでしょう。
しかしそれと同時に自分自身を追い詰め苦しめることもあります。
自殺未遂を幾度も実際に経験したマーク・ヘンイック氏は、 当時の状況を当事者の視点からこう語ります。
最初の自殺未遂は中学2年生、進路相談の頃。当時激しい自己嫌悪に陥っていた彼はふと「(僕 が)もし死んでしまったとしても、きっと誰も気にも止めないだろう」と考え、ナイフを首に 突き付けました。運良く進路カウンセラーが止めに入ったので、それは失敗に終わります。
しかし、その数年後、彼は再度自殺願望を抱きました。
「今度は誰にも知られず、1人で静かに死のう」そう決意し、歩道橋から飛び降り自殺を試みます。ですが、結局また死ぬことはありませんでした。
何故なら手すりから両手を離した刹那、誰かがシャツを掴み助けてくれたからで す。ヘンイック氏は当時の様子を振り返ると「その時は死ぬしかないと信じていたし、死ぬ事に取り憑かれていた」と語ります。
彼のように、死ぬことに取り憑かれてしまったら?その時はどのように行動すべきか。 そして、急増する自殺を食い止め、自殺者、特に若年層の自殺者数を減らしていくにはどうすべきかを、自らの実体験と絡めつつ、当事者の視点からヘンイック氏は提案します。
自殺願望は誰にでも発生する危険性がある
通常の精神状態であればまず、自殺という選択肢を選ぶことはないでしょう。 理論的に考えても自殺は選択すべきではないと通常であれば容易に理解できます。 ではなぜ自殺者は自殺を選択してしまうのか。 そして、その思考に取り憑かれてしまうのか?
それを理解する為にはまず、精神面における健康状態が私たちの思想やものごとの捉え方を大きく左右し、それによってものごとの捉え方が良くも悪く変化するということを理解しておくことが重要です。 例え、こころを病んでいる・いないにしても、メンタルヘルスは私達の選択に大いに影響するということを念頭において下さい。
「歩道橋に立つ私のものごとの捉え方は崩壊していました。死ぬことしか選択肢が残っていないと本気で思うほどに。」
そう言ってヘンイック氏は当時を振り返ります。
一般的に自殺願望のある人を止めるのであれば、理性的に語りかけ、諭そうとします。 これは自分自身も対処や理解できないことに混乱しない為だと思います。
健康問題と、自殺の因果関係
自殺を理解する為の共通認識として「自殺は犯罪である」という考え方をやめてください。
殺人や強盗はもちろん犯罪ですが、19世紀に自殺は犯罪ではないと定義されてから自殺は犯罪 ではないのです。自殺はメンタルヘルスの問題です。実際に自殺者のなんと90%が、自殺した当時、治療不可能とされたこころの病を患っていました。薬物療法や心理セラピーなどがこころの病に有効であることは明らかであり、それならば今の世の中は治療を必要とする人々がアクセスしやすい環境を作るべきです。
現状あなたが心の病を抱えていなかったとしても、自分自信がメンタルヘルスの状態に気を使うことで、自殺者を減らすことにつながります。
1年に1回行われる会社の健康診断は、体だけでなく精神的な診断も加えるべきだと私は考えます。
「自殺は犯罪である」という概念を変える為には、個人の意識から変えていくべきといえるでしょう。
まとめ
産後まもない、母親になったばかりの女性の最も多い死亡原因は自殺です。
更に15歳〜25歳のあいだに死亡した若者の約4分の1の死因は自殺です。
この結果を見てもわかるように事態は深 刻化を増しています。このようなことは決して起きてはならないこと。
皆さんの自殺に対する考え方や意識が変わることで世界は変わります。
もし自殺を考えている人は抱え込まずに周りに話しましょう。
自殺願望がある人でも、自殺を真剣に考えている心の片隅に、わずかに希望を持っていることを忘れないで下さい。
毎日を人生の最後の日であるように、今日という日を懸命に生きてください。
この深刻な問題に、わたし達は今真摯に向き合うべきであると考えます。そして自殺に対する 意識を変えていくことで世の中も変わるでしょう。
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