もし目の前の人がしにたいと言ったら。あなたはその時どうしますか?
彼らは例え本気で死のうとしていなかったとしても、 死にたいという考えに辿り着いてしまうほど思い詰めている。だからこそこのような言動になってしまうのでしょう。
そしてそれがあなたの家族や友人、そして恋人だった場合、いったいどのような言葉をかけてあげれば良いのでしょうか?
国定記念公園かつ自殺の名所「東尋坊」
その答えを聞く為に、NPO法人「心に響く文集 編集局」代表・茂幸雄さんに今回はお話を聞きました。
彼の活動拠点となるのは、国定公園かつ自殺の名所としても名高い福井県の東尋坊。
そこで生きていく為の希望を失い、吸い込まれるよう崖下へ身を投げようとしている人に12年間、声をかけ続けてきた茂さん。
そんな茂さんに、身近な人の自殺を思い留ませる為の言葉を伺いました。
しにたい人は『もう一度生きたい人』
そのきっかけは、警察官時代の経験になります。定年退職の直前、東尋坊を管轄とする三国署を最期の赴任地とした茂さん。そして赴任後に東尋坊が日本有数の国定指定公園と同時に「自 殺の名所」でも有名であるにも関わらず、自殺防止の対策を国が全くしていなかったことに驚愕しました。
なぜ茂さんは東尋坊で活動を始めたのか?
自殺の対策について当時の国会議員達と討論したものの、彼らは「自殺は本人の問題。政治的 な観念からはどうしようもない」と言い、国が動いてくれないのであれば自分がやるしかないと考えてました。
茂さんはしばしば、現場に出動し、自殺した方のご遺体の検視にあたるように。さらに自殺未遂を起こし、警察で保護されていた80人近くの話に耳を傾け、更には自殺者の遺した遺書もいくつも読んできたと言います。
※茂さん本人の言葉
「みんなね、遺書に「死にたくない」って書いているんですよ。
https://plus-handicap.com/2016/03/7306/
「助けてくれ」って言うてるんですよ。自殺を選ぶ人は、本当はもう一度再出発したいと思っている人たちばっかりなんですよ。
本当は死にたくなどない。でも、これ以上生きていけない。
自殺志願者の方たちは、想いに反して死を選ぶほど追い詰められているそうです。」
しにたいと思ったら
2004年に発足した同NPOが今まで救った人数はこ609人(1月22日現在)にのぼります。そのうち未成年者はなんと22人。
中には、自転車で東尋坊まで来たという県内の高校生も含まれていました。
東尋坊で自殺者を見つけたスタッフは、とりあえず声を掛け嫌がっていてもなんとか事務所に連れて行くそうです。
すると、どんな人でもゆっくりと、ぽつりぽつりと自殺することになった経緯を語り始めるといいます。
「飛び込む寸前になっても、本当に死にたいと思っている人はいない」
それは長年自殺の名所に立ち続けた茂さんが行き着いた結論。
断崖に立って死を覚悟していてもなお、どこかで彼らは救いの手を差し伸べられるのを待っていたと語ります。
警察庁の調べで、15歳から39歳までの若年層の死因で最も多いのは「自殺」と言われます。自殺対策白書でも「若い世代の自殺は深刻」と指摘されるほど深刻な社会問題にもなっています。
1人でも味方がいれば…「いつもおびえている。早く楽になりたい」この女子中学生の遺書の最後の文字は
「くたばれ!」で終わっていました。
また、保護したある女子高校生は「世の中から消えたい。家も学校も、私の居場所はどこにもない」と泣き崩れたといいます。 「未成年者の自殺の動機は周囲に対する抗議に尽きる。たった一人。たった一人でいい。家族 でも友達でも。たった一人の味方がいるだけで、自殺はなくなる」と茂さんは断言します。
記憶に新しい、アパートで9人の遺体が発見された神奈川県座間市の事件。この容疑者は自殺願望があった女性たちに「一緒にしのう」と誘ったと言います。ですが女性たちには悲しいことに、この容疑者が唯一の理解者で、たった一人の味方に見えてしまったんだろうと思います。
このように切羽詰まっている時にすがりつく相手を間違えてしまうと、取り返しのつかない結 果を招くこともあります。
まとめ
人生に疲れ、行き場をなくし、誘い込まれるように東尋坊に辿り着く若者たち。
ですが自殺をしようとする人は「死んだらアカン!」と誰かに止めて欲しい、声を掛けて欲しいのです。そして彼らが自殺を考えないようになるまで、相手に寄り添い一緒行動してあげることを望み、またそうするべきだと考えます。「自殺したらアカン!」と言うからには、その言葉に対して責任を持つべきである。と茂さんは語ります。
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